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食道癌(消化器科・胃腸科)

食道癌

食道癌は、人口の高齢化に伴い増加傾向にあり、60代の男性、中部食道、扁平上皮癌が多いのが特徴です。
しかし、最近は食の欧米化に伴い、腺癌も増加傾向にあります。
特に、55歳以上の男性で、喫煙者、多酒者でアルデヒドデヒドロゲナーゼ2欠損者は注意が必要です。

症状

つまる感じやしみる感じなどがあげられますが、早期のものは無症状と考えた方がよいでしょう。
進行して食道内腔が狭くなると嚥下困難、食事の時にまず固形物が引っかかるような感じになります。痛みや吐血はかなり進行した状態です。

診断

スクリーニングとしては、バリウム検査と内視鏡検査が広くおこなわれています。
胃がん検診で用いられるバリウムによる上部消化管造影検査は、癌の場所や進行がんの診断には優れているますが、早期がんの診断は内視鏡検査の方が優れています。
内視鏡検査はヨード染色やNBIにより早期からその発見や範囲診断に優れた検査であり、55歳以上の男性で、喫煙者、多酒者は年に1度は受けるべきでしょう。
さらに、精密検査としては、超音波内視鏡やCT・MRI・PET-CT、腫瘍マーカーなどがあります。

治療

腫瘍の深達度(食道粘膜のどの深さまで癌が達しているか)、リンパ節転移の有無、遠隔転移(食道以外の臓器にがん細胞が認められる)により、病期が決められます。

内視鏡的治療

絶対的適応(これで完治する病変)は、粘膜上皮内にとどまるもの(M1)や、粘膜固有層にとどまり(M2)かつ食道全周の2/3以下の病変です。
相対的適応(これで完治とは言い切れない病変)は、粘膜筋板(M3)および粘膜表層(SM1)(これらの深達度ではすでに10~20%のリンパ節転移があります)であっても、ご本人が外科治療を望まない場合や全身状態が手術などに適さないと判断され、かつリンパ節転移がないと判断された場合です。

図:食道表在癌の深達度亜分類 (日本食道学会編:臨床・病理食道癌取扱い規約第10 版補訂版より引用)

外科手術

基本的には食道が存在する胸部と切除してしまった食道の代わりになる臓器(胃・大腸・小腸)を引き上げるために腹部を開いて行われるので、大変大がかりな手術となります。
この為、近年では術前補助療法(抗がん剤を投与)でがんを縮小させてから、内視鏡外科手術で小さな傷で切除(低侵襲性手術)する方法が試みられています。