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消化器科・胃腸科

内視鏡検査

内視鏡検査には、食道・胃・十二指腸を検査する胃カメラ検査(胃内視鏡検査)と、大腸を検査する大腸カメラ(大腸内視鏡検査)があります。

詳しくは下記をご覧ください。

当院で採用している内視鏡

当院で用意している内視鏡機種は、経口内視鏡がオリンパス社製GIF-PQ260、GIF-XP240の2本、経鼻内視鏡がGIF-XP260NS、GIF-XP260Nの2本の計4本で、主には新しいPQ260とGIF-XP260NSを使用しています。
GIF-PQ260は外径7.7mmと現行オリンパス社製経口内視鏡の中では最も細く、少しでも検査が楽になるよう心がけております。
また、GIF-XP260NSはGIF-XP260Nの2倍の明るさと鉗子などの影を解消しながら正確な検査や生検を行うことを可能にしました。
システムはイービスルセラで、微小な病変発見のためにNBIシステムを搭載しています。
通常観察からボタン一つで狭帯域光観察(Narrow Band Imaging=NBI)をおこなうことが可能で、通常観察では発見できなかった早期がんの発見が容易となりました。
詳細はオリンパスおなかドットコム光デジタルによる画像強調観察技術をご覧ください。
大腸鏡はオリンパス社製CF-240Iを使用しています。

上部消化管用ビデオスコープ

 

通常光とNBIの比較

当院の内視鏡検査の流れ

1.検査のご説明

検査に関する説明をします。インフォームドコンセントを大切にしております。

当院では、検査の前に、原則まず一度受診していただきます。

  • 外来にて症状をお聞きして、検査の必要性や緊急性を判断し検査日を予約していただきます。
  • 肝炎などの感染症チェックのための採血と、安全に検査を行うために心電図などの検査をさせていただく場合があります。
  • 事前に持病や服用中の薬を把握しておくことは、検査を安全に行うためにとても大切です。服用中の薬は全てお知らせください。また、お薬のアレルギー情報も重要です。

2.内視鏡検査

ご希望の方法で検査を行います。

近年、医療機器を介した病原体の感染事例が問題となっているため、当院では検査終了後毎回洗浄器にて洗浄・消毒を行い、感染防止に努めております。

3.病理検査

必要な場合には胃の粘膜の一部を採取して、ピロリ菌の存在やがん細胞の有無を病理医に判断してもらいます。
結果が届くまで1週間ほどかかります。
採取する胃粘膜はごく少量ですが、かじり取るようにするため微量の出血を伴います。
通常は自然に止血されるのですが、お薬によっては十分な止血が得られず思わぬ事態になることがありますので、下記のようなお薬を服用されている方は必ず申し出てください。

胃粘膜組織採取の実際

インジゴカルミンという色素を胃の中に散布してポリープをはっきりさせ、組織採取のため生検鉗子を開いているところ。

ポリープを生検鉗子でつかんでいるところ。

生検鉗子で組織採取するとこのように少量ですが出血します。

注意:組織採取時に支障がある薬

バファリン、バイアスピリン、パナルジン、プラビックス、プレタール、エパデール、ワーファリン、プラザキサ、イグザレルト、エリキュース、リクシアナなど血液をサラサラにする薬で抗血小板剤や抗凝固剤といいます。

4.検査結果のご説明

結果説明は約1週間後外来にておこないます。

内視鏡検査、病理検査の結果を踏まえ、ご病状と治療方法についてご説明いたします。

その際9-16分割の消化管内部の内視鏡写真を差し上げます。

消化器内科

消化管は、のどから(食道→胃→小腸(十二指腸→空腸→回腸)→大腸)肛門までと、各部位に名前がついていますが連続する一本の管腔臓器で、全長は約9mに及びます。
各部位ごとに特有の病気やいろいろな部位にまたがる病気があり、それは、消化管だけにとどまらず、おなかの中にある肝臓・胆のう、すい臓などとも密接に関係するため、これらを全般的に診療するのが消化器内科になります。

症状としては、胸の痛み、胸やけ、げっぷ、のどのつかえ、のどの違和感、胃のもたれ、膨満感、食欲不振、おう吐、吐血、腹痛、便秘、下痢、下血、尿が濃い、白目が黄色い、だるい、発熱、背部痛、腹水など、さまざまな症状が起こりえます。

消化管の病気としては、逆流性食道炎、バレット食道、アカラジア、食道癌、食道静脈瘤、マロリーワイス症候群、急性胃炎慢性胃炎、機能性ディスペプシア、消化性潰瘍胃癌、MALTリンパ腫、胃ポリープ、吸収不良症候群、腸閉塞、虫垂炎、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性大腸炎、過敏性腸症候群、大腸憩室症、大腸ポリープ、消化管カルチノイド、GISTなどが、肝臓の病気としては、脂肪肝、急性肝炎、慢性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害、肝臓癌などが、胆のうの病気としては、胆石症、胆のう炎、胆のうポリープ、急性胆管炎、胆のう癌、胆管癌などが、すい臓の病気には急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、膵のう胞性腫瘍、膵癌、膵内分泌腫瘍などがあります。

皆様の症状から、お腹の診察や採血、必要な場合は超音波検査や胃カメラ・大腸カメラをさせていただき病気を絞り込み診断していきます。そして、生活指導やお薬による治療、さらに大腸カメラでは日帰りでのポリープ切除をおこなっております。しかし、本院にある検査では診断が難しい場合や手術が必要な場合は、CT、MRIなどさらに高度な医療機器を備えた病院にすみやかにご紹介いたします。

2013年日本人死亡原因の第1位は36.4万人の癌、その内約半数の18万人が消化器系の癌でした。それらは早期であれば外科的手術せずに内科的に治療することも可能なこともあります。日本の内視鏡技術は世界トップレベルであり定期的な検査さえ怠らなければ早期発見が可能です。

本院では様々な機種(経口・経鼻内視鏡)や工夫(麻酔併用)により苦痛の少ない検査をしていただけるよう努力しておりますので、何でもご相談ください。

食道

食道は約25センチの筋肉性の管で、その筋肉の蠕動(ぜんどう)運動(前進を伴う収縮運動)により、食物をのどから胃へ送る働きをしています。
そして、下部括約筋の弛緩(ゆるみ)により、食物が胃に入るように調節されています。
この機能に障害が起こると、嚥下(えんげ)障害(飲み込むことができない)や胸やけなどが起こります。
また、解剖学的には、気管や大動脈と並んで、心臓のすぐ後ろ側にあります。

食道の病気について

逆流性食道炎・胃食道逆流症

酸性度の強い塩酸(胃酸とも呼ばれています)を含む、胃の内容物が食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症が起きた状態を逆流性食道炎といいます。

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食道癌

食道癌は、人口の高齢化に伴い増加傾向にあり、60代の男性、中部食道、扁平上皮癌が多いのが特徴です。

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胃は食道と連続する噴門(ふんもん)から、胃底部、胃体部、幽門(ゆうもん)前庭部、幽門とよばれる部位で構成され、十二指腸へとつながっていきます。
横隔膜の下、体のやや左寄りにあり、J字形をしています。噴門は食道への食物の逆流を防ぎ、幽門は十二指腸への食物の通過を調節しています。
胃の中に食物が入ってくると、噴門から幽門にむかって蠕動(ぜんどう)運動(前進を伴う収縮運動)が起こります。このとき幽門はきちんと閉まり、胃壁から胃液(塩酸(胃酸)、ペプシノゲーン、粘液)が分泌され、蠕動運動によって食物がすりつぶされます。
ペプシノーゲンは塩酸によりペプシンという酵素になりたんぱく質を分解し、小腸での消化・吸収の助けをします。
胃で消化された食物がかゆ状になると幽門が開いて、少しずつ十二指腸に運ばれていきます。
胃の内容物は、通常食後3~6時間で十二指腸へ運ばれますが、炭水化物食が最も速く、次いで蛋白質食、脂肪食の順で時間がかかります。
胃はほかに、食物と一緒に入り込んだ細菌を胃酸で殺菌したり、身体にとって悪い物質を嘔吐して出す働きももっています。
また、アルコールの一部が吸収されます。

胃の病気について

急性胃炎

種々の原因によって起こる胃粘膜の急性炎症です。胃薬で比較的早期に治ることが多い病気です。

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慢性胃炎

胃粘膜の炎症が長期化したために、胃粘膜自体にただれや肥厚、萎縮といった変化が起こってしまった状態で、ピロリ菌が深く関わっています。

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胃・十二指腸潰瘍

食後に痛くなるのは胃潰瘍、空腹時に痛くなるのは十二指腸潰瘍と言われています。

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胃癌

胃壁は内側から、粘膜、粘膜筋板、粘膜下組織層、筋層、漿膜層の順に層を形成しています。
その粘膜にできる悪性腫瘍で、早期がんと進行がんに分けられます。
前者はその深さが粘膜下層までにとどまるもので、後者は筋層より深くまで達してしまったものをいいます。

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ピロリ菌とは

胃の中に住む細菌で、胃の粘膜表面や細胞の間に入り込んで毒素をだし胃に炎症を起こします。
従来、胃酸の強い(強酸)環境の下で細菌は棲息できないと考えられていました。
しかし、この細菌自体の持つウレアーゼという酵素が、胃内の尿素を分解して作るアンモニアによりその酸を中和して、胃の中で棲息していく条件を整えています。
1982年オーストラリアのウォーレンとマーシャルという二人の医師により発見されました。
正式名称をヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)といい、らせん状(ヘリコ)の細菌(バクター)で、胃の出口付近の幽門部(ピロリ)で発見されたため、この名が付けられました。

ピロリ菌の感染経路

どのような感染経路であるかはまだはっきりわかっていません。
ただ、マーシャルの人体実験で証明されたように、口から入れば感染することは間違いないようです。
大部分は飲み水や食べ物を通じて、人の口から体内に入ると考えられています。
上下水道の完備など生活環境が整備された現代日本では、生水を飲んでピロリ菌に感染することはありません。
また、夫婦間や恋人間でのキス、またコップの回し飲みなどの日常生活ではピロリ菌は感染しないと考えられています。
ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染すると言われています。
幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。
そのため最近では両親から子へなどの家庭内感染が疑われていますので、ピロリ菌に感染している大人からお子さんへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。

ピロリ菌の感染率

世界的にみると先進国では低く発展途上国では高い傾向にあります。
これは上下水道などの衛生環境が影響していると言われています。
したがって、戦後急速に近代化が進んだわが国では、上下水道などの衛生環境が十分に整っていない時代に生まれ育った団塊の世代以上では80%程度なのに対し、10~20代では20%前後と著しく低く、年代によって差が見られます。
しかし、日本人全体の感染率は、2030年頃までにはほかの先進国並みに低くなることが予想されます。

ピロリ菌と胃炎

ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌がつくりだす酵素ウレアーゼと胃の中の尿素が反応して発生するアンモニアなどによって直接胃粘膜が傷つけられたり、ピロリ菌から胃を守ろうとするための生体防御反応である免疫反応により胃の粘膜に炎症が起こります。
それが広がるとヘリコバクター感染胃炎と呼ばれる慢性胃炎となっていきます。
この状態が長く続くと胃の老化現象ともいえる萎縮性胃炎に進展していきます。

ピロリ菌と胃・十二腸潰瘍

胃十二指腸潰瘍の原因は日常生活のストレスや薬(風邪薬や痛み止めに代表される鎮痛解熱剤や血液サラサラにする低用量アスピリンなど)によるものもありますが、十二指腸潰瘍患者の90%以上、胃潰瘍患者の70~80%がこのピロリ菌に感染していることからピロリ菌が胃潰瘍・十二指腸潰瘍を起こしていることが分かり、現在ではピロリ菌に感染することが胃潰瘍・十二指腸潰瘍の最大の原因であると考えられています。
ただし、ピロリ菌に感染している方が必ず胃潰瘍・十二指腸潰瘍になるわけではありません。
実際に潰瘍ができるのは、ピロリ菌感染者の2~3%程度といわれています。

ピロリ菌と胃がん

ピロリ菌の感染が長期間にわたって持続すると、胃の粘膜がうすくやせてしまう「萎縮」が進行し、一部は腸上皮化生となり、胃がんを引き起こしやすい状態をつくりだします。
事実、約10年間にわたる研究で、胃がんになった人の割合は、ピロリ菌に感染していない人では0%(280人中0人)、ピロリ菌に感染している人では2.9%(1246人中36人)であったと報告されています。
また、ピロリ菌を除菌すると、新しい胃がんが発生する確率を減らすことができる可能性があります。
早期胃がんの治療後にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌をしなかった患者さんと比べ、3年以内に新しい胃がんが発生した人が約3分の1だったと報告されています。

もちろん、ピロリ菌に感染した人がみな胃がんになるわけではありません。
もしそうなら、団塊の世代以上の人はほとんど胃がんになってしまいます。ピロリ菌感染者は5-6倍胃がんになりやすいと言われています。

ピロリ菌とその他の病気

ピロリ菌が原因で発症するといわれている病気のうち、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん以外には、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、逆流性食道炎、機能性胃腸症、胃ポリープの一部、慢性じんましんの一部などがあります。

ピロリ菌の診断

内視鏡を使う方法が3つ、使わない方法が3つの6種類の検査があります。
内視鏡検査では、胃炎や潰瘍などの病気があるかどうかを直接観察して調べますが、それと同時に、胃粘膜を少し採取しそれを使って検査する方法です。

内視鏡を使う方法

1.培養法

ピロリ菌の発育環境下で5〜7日培養して判定します。

 

2.迅速ウレアーゼ試験

ピロリ菌が持っているウレアーゼという、尿素を分解する酵素の活性を利用して調べる方法です。

 

3.組織鏡検法

胃の粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で探す組織診断方法です。

内視鏡検査を受けずに済む検査

1.尿素呼気試験法

診断薬を飲んでから、服用前後の呼気を専用の袋に集めて診断します。

 

2.抗体測定

血液や尿などを用いて、ピロリ菌に対する抗体を測定する方法です。

 

3.糞便中抗原測定

糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌は胃の病気だけでなく様々な病気の原因の一つであることが明らかとなってきました。
1週間決められた薬を服用することにより胃の中からピロリ菌を排除することができます。
それにより対象の病気の予防や治療につながるのです。
研究が進むにつれその対象となる疾患も増えてきています。
特に、2013年2月からヘリコバクター・ピロリ感染胃炎が追加されました。

ピロリ菌の除菌対象者

ピロリ菌除菌療法の対象となる人は、次のI〜Vの病気の患者さんです。

( I )内視鏡検査または造影検査で胃潰瘍または十二指腸潰瘍と診断された患者さん
(Ⅱ)胃MALTリンパ腫の患者さん
(Ⅲ)特発性血小板減少性紫斑病の(18歳以上)患者さん
(Ⅳ)早期胃がんに対する内視鏡的治療後(胃)の患者さん
(Ⅴ)内視鏡検査でヘリコバクター・ピロリ感染胃炎と診断された患者さん

ピロリ菌除菌の実際

ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗生物質の3つのお薬が用いられます。
この三種類のお薬を一週間確実に服用することで、約80%の方は除菌に成功すると報告されています。
1回目の除菌療法(一次除菌)で除菌できなかった場合は、再び7日間かけて薬を飲む、2回目の除菌療法(2次除菌)を行います。2種類の「抗菌薬」のうち1つを初回とは別の薬に変えて、再び除菌を行います。
成功率は約85%を超えると言われており、1回目、2回目の除菌療法を合わせた除菌率は95%近くになります。

ピロリ菌除菌の副作用について

除菌療法を始めると、副作用があらわれることがあります。
これまでに報告されているもので主な副作用は軟便や下痢です。
その原因として、抗菌薬による腸管刺激作用や腸内細菌のバランス変化等が考えられています。
その他に、食べ物の味がおかしいと感じたり、苦みや金属のような味を感じたなどの味覚異常があわられる人もいます。
これらは、多くの場合、2、3日でおさまります。
また、肝臓の機能をあらわす検査値の変動が見られることや、まれに、かゆみや発疹など、アレルギー反応があらわれる人もいます。
いずれにしても、薬をやめてしまうと除菌が不成功に終わるだけでなく、それまでの何日か飲んだ薬に抵抗力を持った菌になってしまうこともありますので、必ず主治医に相談して下さい。

ピロリ菌除菌時の生活指導

喫煙により胃粘膜の血流が低下するため除菌率が低下するとの報告があります。
可能であれば1週間だけでも禁煙をお勧めします。
二次除菌に使用するメトロニダゾールはアルコールとの相互作用が報告されています。二次除菌中は禁酒をお勧めします。

ピロリ菌とLG21ヨーグルト

LG21はピロリ菌の抑制作用、炎症改善作用が報告されています。
そして、LG21を1日2個、除菌治療開始3週間前から開始し除菌期間1週間と合わせて1か月食べると、除菌成功率が数%上がったとの報告があります。
耐性菌(お薬に抵抗力のある菌)を増やさないためにも、特に1回目の除菌時には試みるべき方法かもしれません。

ピロリ菌二次除菌に失敗したら

2回の除菌療法をおこなっても残念ながら数%の方は除菌できません。
その場合は、現時点では保険適応とはなりません(自費)が3次除菌として別のお薬の組み合わせで治療を試みることが可能です。
ただし、本院ではおこなっておりませんので、大学病院や総合病院をご紹介する形になります。

ピロリ菌の除菌に成功しても

ピロリ菌の除菌に成功すると、ピロリ菌に関連する様々な病気のリスクは持続感染時より低下したのは間違いありませんが、ゼロになるわけではありません。
定期的な検査は必要です。

除菌後の逆流性食道炎

除菌により胃粘膜の炎症がとれ、ある意味胃が若返り胃酸分泌も増加するため、逆流性食道炎のリスクが高まるとの報告があります。
しかし、その頻度は少なく、また逆に逆流性食道炎が改善した報告もあることや食道炎になってもその程度は軽いと言われています。

除菌後の再感染

ピロリ菌に感染するのは幼児期がほとんどですが、除菌成功後に再度ピロリ菌の判定をすると陽性に出ることがあります。
一応、除菌判定後1年以内に陽性の場合は除菌判定時の菌が少なかったっために陰性に判定されてしまった偽陰性例の可能性があります。
しかし、偽陰性を否定出来て1年以上してからの判定で陽性に出た場合は再感染と考えられます。
原因ははっきりしませんが1%前後とまれなことです。

小腸

小腸は胃と連続する十二指腸から空腸、回腸と呼ばれる部位で構成され、大腸へとつながっていきます。
長さは約6mにもなりますが筋肉の収縮により3mほどになっています。

主な働きは食物の栄養分の吸収と輸送です。
胃で消化されかゆ状になった食物は少しずつ、十二指腸に送り込まれます。
十二指腸は太さ約5センチ、長さは約25~30センチで人の指を12本横に並べたぐらいの長さであったためこう呼ばれるようになりました。
ここでは胆管を通って胆のうと肝臓から分泌される胆汁と膵管を通ってすい臓から分泌される膵液がいっしょに流れ込み、消化と吸収を助ける重要な働きをしています。
空腸、回腸と進むと腸の太さはしだいに細くなり、終わりの部分では直径3センチくらいになります。
小腸の粘膜からも消化酵素が分泌され、アミノ酸、ブドウ糖、グリセリド、脂肪酸などの最終的な分解物に消化します。
そして、この内容物を収縮と弛緩を繰り返し移動させながら、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂肪)以外にビタミンなどを吸収していきます。
小腸上皮で吸収された栄養素は肝臓に運ばれ、脂肪は分解され、リンパ管を経て血中に入ます。

また、小腸の内容物の硬さは、小腸を通過するにつれて徐々に変化していきます。
十二指腸では、膵液と胆汁で薄められて、胃酸が弱められます。
続いて小腸下部を通過するとき、水分、粘液、胆汁、膵酵素と混合されて水っぽい状態になり大腸へと送られます。

大腸

大腸は直径5-8cm、全長約1.5-2mの管で、盲腸から始まり上行(じょうこう)結腸、横行(おうこう)結腸、下行(かこう)結腸、S状結腸、直腸で構成されています。
盲腸は退化した器官で消化吸収には寄与しません。
結腸は水っぽい状態になった食べ物を固形の便状に固くするために、水分塩分の吸収をおこないます。
また、小腸で吸収しきれなかった食物繊維を大腸菌の働きで消化吸収をおこないます。
大腸壁から分泌される大腸液には消化酵素は含まれず、粘液として糞便をなめらかにしています。
そして筋肉の蠕動(ぜんどう)運動により、内容物を直腸に向かって移動させます。
直腸は便を一時的にためておき、ある程度の量になり直腸壁が刺激されると、排便反射により便意がおき、腸の一部や腹部の筋肉が収縮し、同時に肛門の筋肉が開いて便が外に押し出されます。