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Gastrointestinal medicine 胃癌(消化器科・胃腸科)

胃癌

胃壁は内側から、粘膜、粘膜筋板、粘膜下組織層、筋層、漿膜層の順に層を形成しています。
その粘膜にできる悪性腫瘍で、早期がんと進行がんに分けられます。
前者はその深さが粘膜下層までにとどまるもので、後者は筋層より深くまで達してしまったものをいいます。

原因

タバコ、食生活、ストレスに加え、ピロリ菌の関与も大きいことがわかってきました。
タバコにはニコチンやタールといった有害化学物質が200種類以上含まれていると言われ、胃粘膜に障害を与えます。
塩分が多い食事は美味しいですが、とり過ぎると胃粘膜を保護している胃粘液に悪影響を及ぼして、発がん物質などが胃粘膜に浸み込みやすくなると言われています。
ピロリ菌の持続感染は、胃がんの発生母地となる慢性萎縮性胃炎の原因となります。
日本人の2人に1人が感染しているため、ピロリ菌の関与は大きいと言わざるを得ません。

症状

食欲不振、胃もたれ、胃部不快感、みぞおちの痛みなどがありますが、これらは胃がんに付随する胃炎や潰瘍に伴うことが多いのです。
従って、早期がんでは症状がないことがほとんどです。
また、癌に伴う潰瘍は痛みを伴いにくく、かなり進行してから吐血(血を吐く)や下血(真っ黒い便が出る)、通過障害(癌により狭くなった部分で食べ物が引っかかってしまう状態)で気が付かれることもしばしばあります。

診断

胃がん検診でも用いられているバリウム検査は、がんの場所や広がりを見るのに優れています。
特に、若い女性に多く予後が悪いスキルス型の診断には特に有用です。
内視鏡検査は近年の画像の鮮明化やNBIなどの画像処理技術の進歩により、非常に早期の病変まで発見できるようになってきました。
また、特殊なものとして超音波内視鏡(内視鏡の先端に超音波装置が付いている内視鏡)は、がんが胃壁のどの深さまで達しているか判定することが出来ます。
転移診断には、CTやMRIが有用です。

治療

胃がん治療に当たっては、その治療方針が胃癌治療ガイドラインに示されています。

内視鏡治療

理論上リンパ節転移などがなく、内視鏡切除のみで完治が得られると考えられる病変に対して行われます。
即ち、粘膜内にとどまり、組織型が分化型で、2cm以下の潰瘍がない病変が絶対適応とされています。
しかし、胃が完全に残る恩恵は患者さんには大きいため、各施設でさらに大きな病変や組織型などに対する適応拡大が試みられています。

外科治療

内視鏡的切除適応外の早期胃がんに対しては、腹腔鏡下胃切除が普及してきています。
最近であれば、芸人の宮迫博之さんが受けた手術もこの方法でした。
傷跡が小さいなどの美容上の問題だけでなく、傷口の痛みが少ない、腸管蠕動の回復が早いなど多くの利点上がります。

開腹手術には、定型手術(胃の2/3切除+リンパ節切除)、縮小手術(早期がんにおこないます)、拡大手術(他の臓器も一緒に切除したような場合)などがありますが、いずれにしても少しでも患者さんの負担が少なくて済むような努力がされています。

化学療法

大きく2つの目的に分けられます。

1つ目は術前・術後の補助療法です。
胃がんの手術は取り残しの無いように目に見える範囲より少し大きめに胃を切除し、同時に転移の可能性のあるリンパ節を切除します。
それでも目に見えない細胞レベルでのがんの取り残しは否定できません。
そのため、術後に一定期間抗がん剤を投与することがあります。
また、完全切除が困難と思われる段階まで進行してしまっている場合には、術前に抗がん剤を投与して、転移巣や病変を小さくしてから手術をおこなう場合もあります。

もう1つは、手術が出来なかったり、転移・再発してしまった場合に、少しでも長く日常生活が送れるようにする治療法です。